巧妙な自制

誰かがあたしを引き止める。
何かがあたしを引き止める。

安心のために人類は全てを切り売りする。
欲望のために子供達を切り捨てる。

昨日見た空が、嫌に網膜に焼き付いている。
イラクサウジアラビアでも、こんな空が広がっているの?
鳥の羽みたいな薄い雲が、透き通る青に程よいコントラスト。

ああ。

煩いくらいの日差し。
少しだけ鬱になる。

熱に浮かされた金魚が狂ったように口を開けて
強請ってる。強請ってる。

でもね、
金魚に餌をやりすぎると腹が膨れて死んじゃうの。
餓死しないけど、破裂死しちゃうの。

誰かがあたしを引き止める。

ねえ、もし道端に大金が落ちてたら?

なにかがあたしをひきとめる。

ねえ、もし彼が自傷癖だったら?


誰かが引き止める。
でも、その誰かは『安全圏』での傍観者だ。

何かが引き止める。
でも、その何かはくだらない『モラル』だ。


貧血の悪化はあたしを堪らなくハイにさせるだろう。