嘔吐

煙草も煙も好きじゃない。
凄く臭いんだ。

このまま肺をやられ始めて、あたしの身体全部がきっと飲み込まれていく。

副流煙受動喫煙
どっちも居心地の良くなるものではない

でも、それで心が軽くなるのだとしたら
あたしはきっと甘んじて許してしまうかもしれない。
百害あって一利なくても、君のツカレが取れるのならば
あたしはきっとただの傍観者になれる。
君の身体を労わるために言う『やめなよ』なんて台詞言わないよ。
君の心を労わるために喫煙を黙認するよ。
ニコチンに塗れて、ヤニに塗れて。
白くて可愛かった君は、もう黄ばんでしまって。
陶器のビスクドールが日光に晒されてしまったみたいに。
誰からも愛されなくなってしまっても。

それも含めてあたしは君を肯定しようとしている。


ねえ?
これはやっぱりただの偽善かな。

爆笑を抑えて冷静なふりしてるのは、もう見透かされてるかな。
嘲笑を抑えて親身なふりしてるのは、もうばれちゃってるかな。



君が白くあるように
あたしには黒いものがある。


吐き出せなかった吐瀉物を、こんな場所で必死に指を突っ込みながら吐き出すあたしは
とんでもなく卑怯だね。


君みたいな白かった時代は何時までも無い。
絶望ではない。そんなに悲観的にならなくてもいいこと。


ただちょっと、止まらない時間の流れに腹を立てるだけ。
ほんのちょっと。
死が安らかであることを祈りながら待つだけなんです。